superaho’s diary

犬も食わない捻くれ+ひきこもり系ポンコツBBAの緩い駄文。

メリーポピンズリターンのこと

1960年代に作られた前作のメリーポピンズが大好きで。

 

ジュリーアンドリュースのサウンドオブミュージック観たり、母が彼女の書いた本(ファンタジー)を買ってくれたりして、ハマった。

 

ディックヴァンダイクも、大好きで、チキチキバンバンは、何回も観た。

 

好きのイメージの元は、メリーポピンズにある。

 

ウォルトディズニーが、2ペンスの歌(鳩に餌を※)だったかを、作品に組み込んだ時、ただのファンタジーミュージカル作品に、世の中に送り出される魂のようなものが籠ったとか。

 

この歌がないと、軽すぎる(ただストーリーや、面白エピソードが展開するだけ)からじゃないかと思う。

 

あの歌の、誰が見るでもなく、天使が微笑んでいるのが感じられるのは、二作目でホームレスになろうとも、優しさを発動した人なのではなかろうか。

 

だとしたら、今の世界に、天使が微笑みを向けられる人間がどれほどいるだろうか。

 

リターンズは、物理的には救われたけれど、心理的に地獄の世界で生きる人々の作品に見える。

 

前作は、物理的には、失うけれど、心を、魂を取り戻す作品だから、真逆だ。

 

作品の出来では、前作なんかを飛び越えて、素晴らしい技術力と、完成度に仕上がっている。

 

オマージュがないと言うけれど、作品としては、しっかりオマージュしている。

 

けれど、魂が抜かれた作品になっていた。

 

だったら、いっそ、メリーポピンズじゃなくて、新しい作品として作ってほしかった。

と思うのは、前作を見ているからだろう。

 

前作を見てなかったら、見なかったであろうことを思えば、新しくやるにはリスキーな作品だったのだろう。

 

何がショックって、作品もビックリだけど。

 

それ以上に、前作に続いて夢があったとか、メリーポピンズらしかった、といった観客の意見にゾッとした。

 

前作ファンの中には、2ペンス全否定意見が見られて、自分だけがおかしいのか…と不安だった気持ちが救われたけれど。

 

時代の変化を目の当たりにし、

今後、こういう観客に向けた映像作品が作られていくのかと思うと。

 

私にとって面白いと感じる作品は、

少なくなって行ってしまうのかもしれない。

と絶望に近い気持ちになったからだ。

 

そんな世の中に向けて、君たちはどう生きるか

が、投げ込まれた時は、宮崎駿さんやジブリの勇敢さに更に驚愕した。

 

需要しやすい物に慣れ、破綻なく綺麗にまとまった話が大好きな観客の中

メルヘンやファンタジーが成立し難い世の中に、構造的には、ファンタジーの超王道を、

ストーリーや構成より、イメージの展開で伝えようとする力量は、あの作品でしか出来なかったのかもしれない。

 

映像作品に限らないけど、作品としての良し悪しだけではなく、作品に合った、時代やタイミングがあるのだな。

 

温故知新。

 

今のもの、新しいことは、良いけれど。

古きを訪ね、新しきを知るように。

 

過去作を知らずして、何を新しいと呼べるのだろう。

 

※訂正 2ペンスを鳩に 20240506